2009年07月29日

外れたモノ

なぜか続いた不思議。
内容は続きませんが。

あ、専門用語で判らないとか言う人は図書館に行くのをお勧めします。具体的には夜取木嬢のいる場所。

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しとしとと降り続ける雨の中、ボロボロに崩れ落ちた廃墟の中に光が走り、鈍い音が響く。光は風を裂き、風を裂いた光は鈍い音を響かせる。鈍い音が響くたびにヒトの叫び声が響く。痛みを、恨みを、無念を、怒りを、様々な感情を込めた叫び声が響き渡る。

「ホンット、毎度毎度面倒だよなぁー。こーいったなりかけ潰し、ってのは。こんな面倒なのは、他のヤツに任せたいのが本音なんだけどねぇ。運が悪いと言うかなんと言うか。」
少年、いや、青年になりかけている男はぼやくように呟き首を振る。
しかし、やる気のなさそうな発言に反してその視線は警戒を緩めていない。
青年の視線の先にいるモノは、一瞬でも油断をすればそれだけで命取りになる存在だと理解しているからだ。
視線の先にはヒトガタのうずくまった姿があり、ヒトガタはうずくまったまま手で傷を抑えるようにしており、青年を睨み付けていた。

知らぬものが見れば人殺しの現場。人の道を外れた凄惨たる犯罪の現場。
それはある意味正しく、しかしある意味それは間違いであった。
ヒトガタは決して人ではなく、かつて人であったが今ではヒトガタへと変貌した哀れな存在。呪いと恨みと無念と怒りをその身に宿した哀れな存在。その名を「ゴースト」と言った。

「……死んでしまえ。……皆死んでしまえ。……どいつも! ……こいつも! ……皆ぁ! ……死んでしまえぇぇぇぇぇ!」
呪いを込めた雄たけびがあげられると共にヒトガタの周囲には炎を生み出される。炎は雨の中にも関わらず燃え上がり、ヒトガタが青年を指差すと共に数条の線を描いて青年に迫る。
「ったく、思いっきり攻撃してるってのにまだそんだけやる気とはね。ホント、ゴーストってのはしつこい。…ってのも存在からして当然か。」
うんざりとした口調で青年は炎を避けようと身をかがめ動く。
「死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇ!!! 邪魔なんだよ! いらないんだよ! 死んでしまえぇぇぇ!!!」
数条の赤い線は青年を捉える事無く消えていくが、炎の攻撃を仕掛けると同時に詰め寄ったゴーストは両の爪を振り回し青年を引き裂こうとする。
それを青年は避け手にした凶器で受け流し、攻撃の隙を見つけると蹴りを入れて距離を取る。
「はぁ……だから、しつこいんだって。所詮なり立てのお前程度が俺を殺れると思うなよなー。」
青年はうなだれるようにため息をつく。
「あぁ、そうだ。間違えるなよ? お前が俺を殺すんじゃない。俺が、お前を、殺すんだ。」
青年が顔を上げた時は今までのようなやる気の無い表情ではなく、殺す事を決めた者の顔をしていた。
「紡げ 方陣」
青年の前に六亡星の魔方陣が浮かび上がる。魔方陣はゆっくりと回転し力を生み出し、青年へと力を与える。
ゴーストは慌てて青年へと詰め寄る。しかしその前に青年は力ある言葉は放つ。
「穿て 魔弾」
虚空に炎が生み出され、そのまま紅き一閃を空に刻む。
一閃は狙い違わずにゴーストへと向かい、着弾と同時にゴーストはその身に炎を纏う事になった。
ゴーストの放った炎と違い数は一つに過ぎないが、その威力は燃え盛る炎の勢いを見れば一目瞭然であった。
炎に飲まれたゴーストは振り払おうともがき、意識を逸らしたその時。
「コレで終われ。」
青年は大上段に振りかざした凶器を迷う事無く、全力で振り下ろした。



「嫌だ! 嫌だ嫌だ! 嫌だいやだイヤだイヤダァァァァ”ァ”ァ”!!!」



「うぁー……見事なまでに往生際が悪いヤツ。……しばらく夢見悪そ。」
憂鬱そうな表情で灰色の空を見上げる。雨は止み残された滴が舞うだけだった。
わずかに残った滴と冷たい空気で熱くなった身体を冷やし、意識を落ち着かせる。
時間をかけて意識を落ち着けた後、イグニッションを解除し身に着けていた装備をカードへと収納する。身に着けていた武器・防具の類は消え去り、一枚のカードが残される。

「コレで目的は達成っと。後は連絡に行くだけかね。」
カードを懐になおし落ち着かせた意識でやる事を思い浮べ、青年は立ち去ろうとする。
立ち去る瞬間、振り返りゴーストのいた場所へと視線を向ける。
わずかな時間を刻んで青年は視線を逸らし現場を立ち去った。
後に物言わぬ廃墟を残して。
posted by 鏡 流刃 at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 書き物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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